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歴史・文化財 資料アーカイブ

宇都宮の民話

宇都宮の民話「大豆三粒の金仏」

 江戸時代のころ、善願寺の栄鈷和尚は、大仏建立を思い立って、托鉢して回ったが、浄財は思うように集まらず、月日だけが過ぎていったと。
ある冬の夜、旅の僧が一夜の宿を頼んだと。和尚は喜んで招きいれ、夜食を共にしながら、大仏建立の思いを打ち明けた。すると旅の僧は、「私は旅をする身で何もできませんが、この三粒の大豆を差し上げましょう。」と言いました。和尚が戸惑っていると、「三粒を蒔けば、来年は百粒ほどの大豆が採れるでしょう。それを信者に分け、とれた大豆は寺に納めていただく。これを十年続けたらどうでしょう。」
 和尚は農家を巡って教えを説き、大豆を作ることを頼んで歩いたと。
 そして十年後、大仏が建立され、“土や石 積もれば富士の 山となる 豆も仏と なるとこそきけ”誰いうとなくこの和歌が、伝えられるようになったと。