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歴史・文化財 資料アーカイブ

宇都宮の民話

宇都宮の民話「おしどり塚」

 昔々のことであったと。宇都宮のあさり川は、川べりに葦が生い茂って、水鳥たちの餌場だったと。この辺りを狩場にしていた猟師がおったと。
ある日、一日中山を歩いても獲物がなかったと。帰りにあさり川を通ると、おしどりがいたので、弓を引き、射とめた雄のおしどりの首を切り落として持ち帰ったと。 次の日も、猟師があさり川を通ると、同じ所に雌のおしどりがうずくまっていたと。すぐに撃ち取り拾い上げると、雌のおしどりは雄の首を抱えていたんだと。猟師はおしどりを持ったまま立ちすくんでしまったと。
「おら、何て罪深いことをしてしまったんだべ。」
猟師は、頭をまるめて坊さんになったと。川岸に塚を造って、石塔を建てて、おしどりの菩堤を弔ったと。今でも大町の民家の裏に、おしどり塚はあんだと。