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歴史・文化財 資料アーカイブ

宇都宮にまつわる民話

大豆三粒の金仏

 すると旅の僧は、「私は諸国を旅する身ですので、何らお役に立つことはできませんが、ここに大豆が三粒ありますからお寺に納めましょう。」と言うのでした。
 栄鈷和尚がとまどっていると、旅の僧は、「この三粒の大豆を境内にまけば、来年は百粒ほどの大豆がとれるでしょう。
 これを寺の信者に一粒ずつわけ、それからとれる大豆はすべて寺に納めていただく。その大豆をまた多くの信者にわけ、とれた大豆は寺に納めていただく。このようにして十数年を過ぎたなら、その大豆の収益は驚くばかりになるでしょう。」と付け加えました。
 栄鈷和尚は顔をほころばせて、「あなたのおっしゃるとおりです。なぜこのことに気づかなかったのか。」と言い感謝しました。