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歴史・文化財 資料アーカイブ

宇都宮にまつわる民話

朝日観音霊験

 今から200年以上も前の1773年、西原の組屋敷で火事が起こりました。この火事は宇都宮41町が全焼するほどまでにひろがった大変な大火事でした。
  このとき、朝日観音を深く信仰していた大工の平助は、火に追われて、命からがらやっとの思いで観音堂の前まで逃げてきました。しかし、火の勢いはますます激しくなり、お堂のまわりは真赤な火の粉が舞いおどり、建物のくずれる音は雷のようでした。
  死を覚悟した平助は、地面に顔をつけ身を小さくして、観音様の名を繰り返し繰り返し唱えました。すると不思議なことに、突然、お堂と平助のまわりだけは、火の勢いが波が引くように遠のいていったのです。平助は 、無事に助かることができました。