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歴史・文化財 資料アーカイブ

宇都宮にまつわる民話

朝日観音霊験

 道場宿に新吉という者がいて、朝日観音を深く信仰していました。新吉は朝日観音の縁日の帰り、ほろ酔い気分で鬼怒川のほとりまでやって来ました。すると突然、草むらにかくれていた盗ぞくが、新吉めがけ剣を抜いておそいかかってきました。
 あわてた新吉は、ほろ酔い気分もふき飛んでしまい、川べりにある船着き場まで夢中で逃げてきました。しかし、どうしたわけかその日にかぎって船が見あたりません。
 追いつめられた新吉は、ただただ一心に朝日観音に祈り、川に飛び込みました。 すると不思議なことに、水中に一度しずんだ体はみるみる浮き上がり、なんと川の上に立つことができたのです。
 そして、まるで地面の上を走るように、鬼怒川の川面を走って向こう岸まで渡ることができました。盗ぞくたちも 、この不思議な光景にはただぼう然とするだけでした。