歴史・文化財 資料アーカイブ
宇都宮にまつわる民話
成高寺
むかし、成高寺というお寺に貞禅というたいへん書の上手な和尚さんがいました。
ある夜、このお坊さんの夢に一人の年老いた老人があらわれました。「今夜、自分は高原山によじ登り、仙人とどちらが書の道で上達したか比べてみようと約束した。しかし、まだ書法に通じていない。あなたはその道ではたいへん有名だと聞いている。しばらくの間、その腕を貸してもらえないだろうか。」と貞禅に語りました。
貞禅も最初は断ったのですが、やむを得ずこのことを受け入れると、たちまち右手がしびれて自由を失ってしまいました。
不思議に思っていると、3日後の夜、夢にふたたび老人があらわれました。「おかげで仙人のまえで面目をたもつことができた。これからずっとこの寺を見守り、恩に報いよう。」と述べて姿を消しました。 すると、しびれていた腕は再びもとに戻り、自由に動かせるようになりました。