歴史・文化財 資料アーカイブ
宇都宮の民俗芸能
宇都宮の獅子舞
獅子頭〔ししがしら〕をかぶって舞い踊る芸能を獅子舞といいます。獅子舞には、獅子の頭と胴幕に2人以上が入って踊る二人立ち(伎楽〔ぎがく〕系)と、1人が獅子頭をかぶって幕を下げ、腹に太鼓などをつけてたたきながら舞う一人立ち(風流系)の2つの系統がありますが、栃木県など東日本に多く見られるのは後者の獅子舞です。現在、市内には7つの獅子舞が残っていますが、そのすべては雄2匹、雌1匹からなる一人立ち三匹獅子舞で、毎年盆や二百十日に、あるいは道や橋が完成した時などに悪疫退散や家内安全、風雨順調などを願って行われています。ただし、流派は関白流や文挟〔ふばさみ〕流、紫宸殿〔ししんでん〕 流などいくつかに分かれ、場所によっては藤原利仁伝説に基づくものや藤原宗円が奉納したと伝わるものなど興味深い由来があります。
ところで獅子舞には、隠れた雌め獅じ子しを2匹の雄獅子〔おじし〕 が探し回る「雌獅子隠し(芝隠し)」や、弓と弦の間をくぐろうと、試行錯誤を繰り返す雄獅子の様を描いた「弓くぐり」など、いくつかの演目があります。これらのストーリーを知った上で獅子舞を見ていただくと、楽しさも倍増します。今年の夏も各地の神社や公民館などで獅子舞の上演が予定されています。この機会に地域の人々が大切に守り伝えてきた芸能をぜひご覧ください。