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歴史・文化財 資料アーカイブ

宇都宮の祭り・年中行事

蓬莱町屋台

 蓬莱町屋台は、弘化〔こうか〕2年(1845)に蓬莱町で建造されたとみられる、外輪式漆塗造彩色彫刻屋台で、棟木には「弘化二年」「棟梁高田仲右ェ門〔たかだなかえもん〕、彫物師高田愼吾〔たかだしんご〕、図案師狩野永徳〔かのうえいとく〕、彩色菊地愛山〔きくちあいざん〕 」の墨書が確認できます。
 前面・後面の鬼板は、深緑色の松葉に2羽の丹頂鶴〔たんちょうづる〕、懸魚〔げぎょ〕は松に稲穂をくわえた子鶴たち、水引は松に小鳥、柱隠〔はしらかくし〕は松と紅葉した蔦〔つた〕、内琵琶板〔うちびわいた〕は松に鶴、内障子〔うちしょうじ〕部分は下部分に青い波に金色の大亀、背に大きな松の木が乗っており、根本には笹と紅梅が添えられ、町名にちなんだ蓬莱山の図柄です。側面屋根上の箱棟〔はこむね〕が松の彫刻になっており、その上に立体的に作られた大きな鶴が3羽飛んでいます。脇障子は松と蔦に鶴、障子回は松に小鳥、高欄〔こうらん〕 下は青色の波に金色の亀が3匹、後障子は梅で幹の穴からミミズクがのぞいています。全体に松葉の深緑色と白や金の鶴、下部分は波の青色が鮮やかで印象的です。
 宇都宮二荒山祭礼図絵の馬場繰込の図には、「十四番蓬莱町」屋台が描かれています。市内に原形で残る貴重な彫刻屋台です。現在は、数年おきに、宮まつりの際に組み立てられ、市内に繰り出してその豪華絢爛な姿を披露しています。