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歴史・文化財 資料アーカイブ

宇都宮の祭り・年中行事

伝馬町屋台

 伝馬町屋台は、屋根裏の墨書から、嘉永5年(1852)に建造されたとみられる、宇都宮型黒漆塗造彩色屋台です。「彫工ちょうこう高田信吾〔たかだしんご〕磯邊儀兵衛〔いそべぎへえ〕塗師〔ぬし〕斎藤儀兵衛 錺師〔かざりし〕江戸小伝馬熊吉 大工棟梁〔とうりょう〕 銀次郎」などの名が、棟木の墨書に記されています。
 屋台屋根の前後には、それぞれ三頭の龍〔りゅう〕が絡み合い、本屋台の最大の見所で象徴ともいうべきものです。また、屋根の上にも二頭の龍がおり、大変珍しいものです。脇障子〔わきしょうじ〕には孔雀〔くじゃく〕と牡丹〔ぼたん〕、内欄間〔らんま〕には桃に雉鳩〔きじばと〕、前後琵琶板〔びわいた〕には金鶏鳥〔きんけいちょう〕、内琵琶板には桐〔きり〕に鳳凰〔ほうおう〕、内障子・内蹴込〔けこ〕 みには親獅子と子獅子など屋台全体に大胆さと繊細さが入り混じり、調和のとれた豪華な彫刻が施されており、昭和30年(1955)には、県の有形文化財(工芸品)の指定を受けています。
 屋台は、宇都宮二荒山神社の秋祭りである菊水祭に、二荒山神社各氏子の山車・屋台と共に曳〔ひ〕き廻〔まわ〕されたと伝えられており、現在も数年に一度、菊水祭や宮まつりの際に曳き廻され、豪華絢爛〔けんらん〕 な姿を披露しています。