歴史・文化財 資料アーカイブ
宇都宮の祭り・年中行事
石那田八坂神社の天王祭と屋台
石那田八坂神社の天王祭は、京都祇園祭の流れをくみ、疫病退散と地域の平安を願って、例年7月17日から24日まで行われます。御神体を本殿から御仮殿に遷〔うつ〕す「下遷宮〔げせんぐう〕」に始まり、御仮殿にて7日間毎夜燈明を灯して人々が参拝をし、最終日に御神体を本殿に遷す「上遷宮〔じょうせんぐう〕 」で祭りを終了します。
屋台は上遷宮の前日(宵祭り、町内のみ)と当日(本祭り)の2日間引き出されますが、特に上遷宮当日は付祭りと称し、御仮殿300m手前榊里〔さかきさと〕交差点に各集落の屋台が集結し、仲内の猿田彦・獅子頭を先頭に、桑原〔かばら〕・六本木・原坪・岡坪・仲根・坊村の6台の彫刻屋台が、隊列を組んで勇壮な屋台囃子〔ばやし〕 の音とともに御仮殿に到着します。御仮殿で神事を執行し、その後古式に従い猿田彦を先頭に隊列を組んで本殿に向かい御神体を遷し、再度神事を執行して祭りを終了します。屋台の付祭りは平成17年7月の最終土曜日を「上遷宮」の日とし、以降この日を基準に一連の行事を行っています。
石那田にある6台の彫刻屋台は、唐破風〔からはふ〕屋根に館形式の彫刻屋台で、5台が彩色、1台が白木屋台です。四方八方に、「龍」や「獅子」「鳳凰」「鶏」「山鵲〔ばと〕」「ぼたん」「菊」「ぶどう」など、多彩な彫刻が施されています。建造年代は江戸時代後期から明治時代初期で、最も古いものは文化6年(1809年)の記録があります。彫刻師は、礒辺儀兵衛敬信〔けいしん〕 を始め、後藤周二正秀・後藤常吉正英・高田伊兵衛・神山政五郎など、下野国当代一流の名工が腕を振るっており、これらの彫刻は日光の社寺と比較しても、引けを取らない逸品ぞろいです。