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歴史・文化財 資料アーカイブ

宇都宮の祭り・年中行事

春の年中行事~「節分」「初午」~

 春の行事として一番最初のものは「節分」です。一部の地域では「トシコシ」とも呼ばれますが、これは立春の前日にあたることに由来します。旧暦の二十四節季で表せば、「節分」は冬の終わりの大晦日〔おおみそか〕で、「立春」は春の始めの正月元旦にあたります。したがって「節分」とは「季節の分け目」であり、まさに冬から春への「トシコシ」なのです。
 「節分」では、大豆を炒り一升枡に入れて大神宮様に供え、夕方ゴマガラ(ゴマの枝)の先にイワシの頭をさしたものを豆をまく所にさし、(鬼は臭いものやとげがあるものを嫌うとされています。)「福は内、福は内、鬼は外」ととなえながら豆をまきます。豆をまくところは、大神宮、稲荷、座敷、水神などで、豆がまき終わった後、それぞれが自分の年齢の数の豆を食べます。なお、イワシはダイズやヒイラギの枝にさす場合もあります。
 旧暦2月の最初の午〔うま〕)の日を「初午〔はつうま〕」といい、京都の伏見稲荷大社のご祭神が降臨したのがこの日とされ、稲荷神社の祭日とされています。また農家では、稲荷神はイネナリに通じるところから稲の神とされ、商家では商売の神として広く信仰されています。
 各家庭ではこの日、大根、人参、塩引き鮭の頭、大豆、酒粕、油揚げなどの残り物を材料として「シモツカレ」をつくり、わらで作った入れ物(ツトッコ・ストッコ)に入れ、お稲荷様に赤飯とともに供えます。シモツカレは、たいへん栄養に富んだ食べ物でもあり、昔の人は、橋を渡らないで7軒の家のものを食べると、病気にかからず、長生きするといいました。