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歴史・文化財 資料アーカイブ

宇都宮の民話

宇都宮の民話「孝子桜」


 城山西小学校の校庭には、市指定天然記念物で、毎年多くの見学者が訪れる、しだれ桜がありますが、この桜にまつわる伝説を紹介します。

 むかしむかし、古賀志山のふもとに、お父を看病しながら、畑や山仕事をしていた幸助という息子がいたと。寝たきりのお父が、桜が見たいというので、木の下に来ては、
「おねげいだ。一日でいいから、桜の花を咲かせてくだされ。」
と、寒い冬の日なのに、毎日祈り続けていたと。ある晩のことお父は、
「すまんな幸助、最後の願いだ。明日、桜の下に連れてってくれ。」
と頼んだと。
 幸助は、月明かりを頼りに古賀志の大日如来様の祠に走り、祈り続けたと。
 その日、幸助がお父を背負って、林を抜けると、満開の桜が目の前にあったと。
「お父つぁん、咲いたぞ。桜がさいたぞ。」
お父の目からは、涙がこぼれていたと。お父をゆっくりと下ろすと、二人で桜にむかって両手を合わせたと。お父は、そのまま眠るように息を引きとったと。
そのしだれ桜は「孝子桜」と呼ばれ、毎年美しい花を咲かせているそうだ。