歴史・文化財 資料アーカイブ
宇都宮の祭り・年中行事
天祭と天棚
天祭とは、太陽や月をはじめとする神仏に、風雨順調、五穀豊穣などを祈願する行事で、天念仏ともいわれます。市内で見られる天祭は、天棚を設置し、神仏を迎えて祈願するとともに、祭壇の周囲を念仏を唱えながら回るものです。市内では、江戸後期に盛んとなり、50カ所以上の地に存在していたことが知られています。
市内の天棚は架設組み立て式の2階建てですが、総2階造りのものと一部2階造りのものがあります。いずれも彫刻が組み入れられており、祭壇は2階部分に設置されています。天棚製作に関する年代で、最も古い記録は、明和8(1771)年、新しいもので明治15(1882)年で、後藤常吉正秀など屋台の彫刻師の名前も見られます。
天祭は、盆の時期か8月下旬の風祭りの時期に3日間行われました。行事の主役となる行人は、白装束で頭に宝冠を被り、心身の「ケガレ」を除くために水行などを行い、神仏を招き願い事をします。複数人がおり1人が天棚上に登り、他は天棚下に位置し、神仏を招く際には、天棚上の行人の先導で祈祷〔きとう〕 呪文を唱えます。一方、一般の参加者は助行人と呼ばれ、お囃子〔はやし〕の音に合わせ天棚の回りを動いて行人の願いを助けます。
天祭は、信仰上から行われてきたものですが、若者の娯楽の意味もありました。